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建築家の仕事をする関西の優良施工会社
型枠専業でスタート、特化した技術と全員参加型の経営で差別化を図る

新行建設株式会社大阪府摂津市

新行建設株式会社
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 大阪府摂津市新在家にある新行建設株式会社は、鉄筋コンクリート造の型枠工事を原点として発展、完成度の高い施工技術により「型枠なら新行」といわれるほどの評価を築いている。大阪モノレールの摂津駅の西側にある同社に、創業者でもある代表取締役社長の新行貞喜氏を訪ね、設立の経緯、経営理念、業務の特色、今後の展開等についてうかがってみた。

型枠大工としてスタート
 子供の頃から宮大工に憧れていたという新行氏は、和歌山県の出身。職業訓練所で学んだ後、大工を目指して大阪へ出てきたという。縁あって型枠大工の親方に弟子入り、飯場での生活からのスタートであったが、当時は少し頑張ればいい生活ができるという夢のある時代でもあった。持ち前の向学心と完璧主義により親方の信頼を得、家庭を持ってしばらくした頃のことである。新行氏を頼って田舎で林業を営んでいた兄弟が大阪に出て来た。急成長を続ける建設業界の中で国内の半値という海外からの輸入材に押され、林業が成り立たなくなったのである。同じ苦労するなら、自分でやろうと、これをきっかけに身に付けた型枠大工の技術を生かして独立を決意、1972年(昭和47年)3月、新行工務店として個人で営業を開始することになった。 
 
全員参加型の組織を
 右肩上がりを続けていた日本経済を背景に事業は順調に発展したが、建設業の先行きに限界を感じていた新行氏は組織化を図ろうと1976年(昭和51年)に法人化し、株式会社新行工務店が設立された。法人化したことにより経営者としての使命感を感じた新行氏は、たとえ下請けであっても誇りを持てる組織にしたいという思いからつくった全員参加型の組織は現在にも引き継がれている。
 さらに、経営者として生き方も正していこうといろんなことに学習意欲を燃やし、異業種との勉強会をはじめ、話し方教室にも2年間通ったという。
 
「能力×意欲の二乗×正しい心の姿勢」
 人から信頼を得るには、自分の人生観をきちっと持たなければいけない。新行氏は自分の持っているものをストレートに出していくことも素直さ、誠実さの表現だという。「能力×意欲の二乗×正しい心の姿勢」、新行氏が考える人間が成長するための法則である。正しい心の姿勢とは素直さ、誠実さということであり、人間としての第一歩である。どんなに仕事ができても、どんなに意欲があろうと、正しい心の姿勢を持ち続けていかなければ成功することはできない。

受け身になってはダメ、常に一歩前に出る
 基本的に小さな会社は全員参加の経営、つまり経営者意識を持った集団をつくることができれば、利益は自然に上ってくる。つまり社員のコスト感覚や意識を社長と同レベルまで高められれば、必ず同業他社を追い越すことができるというのである。また、「一歩前へ」は同社の経営理念の一つであるが、受け身になってはダメで、常に一歩前に出ることでパワーのある集団がつくれるのである。
 一方、新行社長の経験からすれば、全員参加の限界は20名までだそうである。これぐらいなら誰もが先頭に立って何でもやっていけるのである。人が多いことはもはやステイタスではなく、いまは少数精鋭の方がかえって中身のある仕事ができるそうである。

培ってきた技術を最高に生かせる場
 型枠コンクリートは、型枠専業20年という同社創業の原点であり、自らの経験を最高に生かせる場でもある。現場主義である新行氏は、今でもコンクリート打ちの現場には少なくとも1日は必ず顔を出すという。他社と比較しても、一番いいコンクリートを打つ自信はあるという技術力をさらに掘り下げていきたい。そして、次の世代に伝えていくために何か個性のある仕事に取り組んでいけないだろうかという発想が、建築家の仕事として実を結び始めたわけである。

新しい時代への対応
 情報過多の時代である。いかに自分にとって必要な情報を選別するかと同時に、情報そのものがビジネスとして発展していく時代でもある。情報をどういう形にするかで新しいビジネスが生まれてくる。
 同社にもインターネットから見積もりの依頼がくるようになった。しかも、中には東京からのものもある。こういった新しい技術をどうビジネスに受け入れていくかもこれからの企業発展のポイントである。
 
新たな夢への挑戦
 現在は不況なだけに夢の描きにくい時代であるが、夢を捨ててしまうのではなく、心の中に持ち続けていれば必ず実現できるという。自らの40年間の体験に基づくと聞くと、人間の能力のすごさを感じさせられる。東京で住宅メーカーに勤めていたご子息も社内に戻り、事業部を分社化。将来的には施工を新行建設株式会社、営業を新行アクシスコーポレーション株式会社(TEL.06-6349-4384 http://www.acsis-net.com/acsis)が分担するという新たな夢に向かっての挑戦が始まったようである。

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