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CW Gallary 007

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撮影場所:兵庫県西宮市 撮影:平 桂弥


私は、黄緑の照明で照らされた水槽をガラス越しに見ている。観察用の一面だけガラスで、
後は、コンクリートの壁で囲まれた水槽はいるかが飼えそうなほど大きく、中にはイカが群れを
なしてピカピカ光って泳いでいる。隣に長靴を履いた男の人がいて、私にイカについて説明している。
「ほら、何だか、不穏な雰囲気になってきた。誰かがため始めているんです。あっ、あれだ。」
男の人の指差した方を見ると、一匹のイカがまん丸に膨らんで水中にじっとしている。身体の中はイカ墨が一杯で、はちきれそうだ。周りのイカたちは、危険を察知してすばやくそのイカから離れていった。水槽の中が緊張感で張り詰めている。
「ただ、壁を独占したいだけですよ。」 と隣の男の人が、少し投げやりな言い方をした。
見ていると、ころころに膨らんだイカは、いきなり壁に直角に体を向けて墨を吹き付けた。壁付近のイカが驚いて逃げ惑う。水槽の中はあっという間に真っ黒になって何も見えなくなった。しばらくたって少しずつ水が透明になってくると、コンクリートの壁にイカが一匹だけ張り付いているのが見えた。すごくこっけいで変てこだった。 私の夢の話。
目がさめてすぐ家族を起こして話して聞かせ、後でノートしたから良く覚えている。(早朝又は夜中、忘れないうちに今みた夢の話を、正直に話せる家族がいると精神衛生にとてもいい。聞かされるのは、健康に悪いかもしれない。)夢を見ると、どうしてこんな夢を見たのか考える。 数日前から冷蔵庫に、コチコチに凍ったイカが何バイかあって、私はそれをどう料理しようかとちょっと悩んではいた。それにこの頃、公園の雄猫たちが、縄張り争いで騒いでいるのも気になっていた。イカは、まるであの雄のトラ猫みたいだ。
この夢の中にまだ私の自覚していない、想像的なヒントが隠されているかもしれないと探ってみる。というのは、私を形成しているものは、例え夢でも、遺伝とか、環境とか、教育とか、何かしらの因果関係で作られているといえるのだろうが、それが全部ではないだろう。私は、たとえわずかの独創性でも、それを重要に考える。私はそれを頼りに未来を見ている。気がつかなければ、見過ごしてしまうほどのものの中に、そんなものがあると考える。

エス・トモ

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