CwOnlineFrom editor>009-建築家の時代がやってくる

編集長のひとりごと009
建築家の時代がやってくる

 このところ建築家の住宅が一般誌によく取り上げられています。時間があれば、書店店頭をのぞいてみてください。「エスクァイア日本版」の6月号は「知的住宅建築のすすめ」というタイトルで「建築家の技が冴える都市型住宅10の方法論」や「コーポラティブハウスという選択」を特集しています。さらに私の時間を愉しむ実用情報誌として創刊されたばかりの「一個人」(ikkojinと読むようです、念のため)でも椎名誠氏が畳の上でくつろぐ表紙に「手が届く、居心地のよい住まい 建築家と造る1000万円台からの家61軒」なるタイトルが読めます。この他、一般誌としては早くから建築家の住宅に着目されている「ブルータス」も再三特集をしています。さらに特集ではありませんが「サンデー毎日」や「週刊朝日」といった週刊誌にまで建築家の住宅が紹介されるようになったのです。こうして建築家の住宅が、専門誌でなく一般のメディアに載り出したということは大いに歓迎すべきことです。流行る兆しと考えてまず間違いないところでしょう。
 建築家相手の雑誌にしか載らなかった時代には、建築家の住宅というとお金持ちか、一部の知っている人だけが建てるものといった感がありましたが、これからは明らかに家づくりの選択肢の一つになっていくと考えられます。おそらく2年もしないうちに建築家の住宅は現在の2倍以上の数字になると思っています。
 しかし、数が増えれば、増えただけいろいろな問題も出てきます。こんなはずじゃなかったという話もきっと急増するでしょう。ハウスメーカーみたいに現物で確認できないため、コミュニケーションが悪ければ、お互いのイメージが大きく違うことも起こり得ます。クレームへの対応が悪ければ訴訟事件に発展することもあるでしょう。折角、建てたい人の増えた建築家の住宅を見限られないようにするためには、建築家サイドも設計料を始め体制やシステムを整備しておくことが先決です。
 ところでご存知でしょうか、これらの一般誌に関西在住の建築家が何人紹介されているか。「エスクァイア日本版」には大阪の事務所が2つ、「一個人」には大阪と京都の方が1人ずつ紹介されていました。いくら関西経済の衰退がひどいとはいえ、関西人としてはさびしい気がします。いや、だから「カーサウエスト」の存在価値があるのかも知れませんね。

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