カーサウエスト読者レポート●私たちの家が建つまで
第3章 私たちと建築家の共同作業が始まった
年が明け、私たちと建築家の共同作業が始まった。2000年3月末に向けての心楽しいスタートだった。 夏の終わりの地鎮祭までのほとんど紙の上だけの打合せにも、プロであればこそのアイデアや知識が感じられ、頼もしく根底に常に安心感があった。
秋からいよいよ実際の建築が始まるとほとんど毎週のように現地で打合せをするようになった。
木曜日の朝10時から2時間余り、建築家、工務店の若い現場監督、私の三人が頭を寄せ合い、実際の具体的なことごとの打合せをする。専門的な知識など何もない私でもそこに居て、自分の目で確かめて、そして話の成り行きを聞いていることは大切でとても興味深いことであった。 また、全くの素人の私たちが建築家の導きにより自宅の建設という私たちにとっては一度きりの大仕事の過程に充分に参加させてもらえたことは、大きな喜びであり、また発見の連続であった。それに建築主側と工務店側の都合や立場の双方を理解し、配慮を忘れない建築家の存在は貴重だった。
竣工のその日まで、三位一体という言葉がいつも私の頭の中に浮かんでいた。 限られた条件の中で、それでも建築家と工務店、私たちそれぞれができるだけの力を出し合い、この建物は生まれた。…と住み始めて2ヵ月が過ぎたいま、改めてそう感じている。
written by 辰巳恵津子