カーサウエスト読者レポート●コーポラティブハウス
第4章 実施設計から入札、地鎮祭までの経過
ここまで来ると家を建てるというソフト面はほぼ終わりです。実際出来たときの期待と、もう一度一から練り直したい気持ちとが交差してちょっと複雑です。職業柄(グラフィックデザイン)リセットがきくというか、次の仕事ではこんな事をしたいとか日頃から思っているせいかもしれません。建築家との打ち合わせはどこか仕事の延長線上といった感じもしましたし。
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さて、ハード面です、どこに建設を依頼するかを決めなくてはいけません、設計事務所にもいくつかのゼネコンから打診があり入札の条件が整ってきました。私も建築主の1人として参加したいと思い、友人が勤めるゼネコンに参加してもらいました。(結局は、建築規模が小さいのと相手が法人ではないと言ったことで辞退されましたが)
最終的に、上場会社から中小の工務店までの5社に絞り込み、説明会をおこないました。説明会では各社に設計図を渡します。簡単な質疑応答をして3週間後の入札を待ちます。建築主代表としてこれに立ち会いました。各社とも他の会社が気になるのか、けん制し合っているムードがあります。ほとんど質問しない会社、熱心に質問する会社まちまちです。
さて、3週間後の入札です。私は「幾らになっているのだろう」と多少ドキドキしながら、設計事務所に向かいました。玄関で最後に入札した会社の人と偶然会い「よろしくお願いします。」とにこやかに挨拶されたのを思い出します。事務所に入ると皆さんが封を開けずに待っていてくれました。いざ、開封です。入札最大手のゼネコンから開けました。「高い!」と一瞬うなりました。予定金額を大幅に上回るものでした。気を取り直し、次々開けていくと、予定金額に近いものもでてきました。みんなもほっとしているのが分かります。だいたい、この段階で2社に絞り込むことが出来ました。
次の総会で5社の見積もりの比較と施工業者を決定しました。競争入札じゃなく、見積もり合わせだったのですが。会社の規模と金額を考えコーナン建設となりました。めでたし、めでたし。これで幾ら借り入れたらいいのか、具体的な数字が出てきて、さらに現実的なものとなります。ここまでで、私が参加して8ヶ月。コーポラティブハウスにしては早いものだと思います。(金額は220,000,000円程でした、高値は400,000,0000円を越えていました。気になる一戸あたりのコストですが平均をとると総工費割る10プラス個々の設計監理料とで各戸30,000,000円ぐらいでしょうか、この金額で約150平米の家が手にはいるのです。しかも千里山で)
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これから、工事行程を決めて、いざ工事に入ります。その前にゼネコン、建築主、設計事務所による近隣の挨拶をします。実際はゼネコンの人が説明をしてくれ、私たちは後ろで「よろしくお願いします」と頭を下げただけです。
いよいよ、地鎮祭。その前にゼネコンとの工事契約を済ませました。集合住宅ですから契約書(図面入り)は小さな椅子ぐらいの高さがありました。その後、現地で地鎮祭を執り行います。今は「神の国」と言うと何やら勘違いされそうですが、地鎮祭などが根付いているのはある意味で「神の国」といった気がします。自然に対する素直な感情だとも思いますが。話はそれましたが、厳かに祭は進行し、直会にうつります。御神酒をいただき、別室で建築主及びゼネコン、設計事務所、土地のオーナーさんと親交を深めるため、小さな宴会をおこないました。1999年12月26日でした。
地鎮祭の様子> 直会の様子>
その後、実際には正月明けから工事開始の予定になっていたわけですが、近隣との調整(大きなトラックは使ってはいけない等)があり、少し遅れました。最近の予定では11月入居は可能になっているようです。会社のパソコンの電源を落とす際、11月までのカウントダウンを表示するようにしています。昨日は残140日でした。
工事開始の様子>
現在は基礎や擁壁の工事が終わり土間コンクリートの段階まで来ています。先日、久しぶりに総会があり、現場見学をしましたが、基礎の段階では案外狭く感じました。壁がないと狭く感じるものだと建築家は言っていましたが。地下のあるお宅の地下室に入ってしまうと狭さはあまり感じませんでした。期待は膨らみます。反面、だんだんと今住んでいるところの整理をしなくなります。妻曰く「掃除はするけど、細かいことはどうでもいいや」となるそうです。また、今住んでいるところをオープンハウスとしているため既に引っ越しの荷造りを開始しているお宅もあります。
工事の様子>
一応今回でこの連載は終わりです。まとめといっても、特に無いのですけれど、家を建てると言うことは本当に楽しいことです。また、コーポラティブ方式を利用すれば案外簡単に夢が現実となります。今ではマンションの広告をみても、ついつい比較したりしてコストパフォーマンスと自分の思い入れの深さを考えると、思わず「こっちの方が楽しいよ」とにんまりしてしまいます。
最後に、ちょっと生意気で理屈っぽい書き方でしたが、読んでいただき有り難うございます。参考になることがあればうれしい限りです。何か不明な点があればメールでお答えしますので、お気軽にメールを下さい。
written by 西田