個別打ち合わせでは、先ず基本設計の前に生活スタイル、趣味の話からはじめます。この段階でお互いの持っているズレを可能な限り埋めていきます。この段階は結構大事で、今後の設計に大きな影響力があります。ズレの幅を理解することが建築家に設計していただく第一条件と言っても過言じゃないでしょう。よく、雑誌などを見ていると、すべて先生におまかせしましたとかありますが、先生が住むのじゃないのだから、そんなことすればきっと後悔するんじゃないかな、と思います。住むのは自分達。基本的(金銭的にはを除く-笑-)には妥協してはなりません。しんどくってもめんどくさくってもいやがられてもね。一生住むかもしれないのだから。
★私のスペースは間口約7メートル奥行き約7メートルの3階建て。東西は隣家の壁、南北に開口、バルコニーの出幅が1.5メートル、屋上利用可★
で「こういう風な感じ...」を表す資料を集めて持参します。資料と言っても雑誌や洋書やらそんなものです。最初からデティールの話をしてもいいと思います。その方が、後々までそれをおぼえていてもらえるため、いざ、ディティールの話になった際にも話は簡単に運びます。また、付箋を付けておいた方がスムーズに話ができます。打ち合わせでは行き当たりばったりになりますので、自分の言いたいことは前もって、箇条書きにしておくといいと思います。でないと伝えきれずに打ち合わせが終わってしまいます。それに、時間を気にしてもいけません。とことんまで話し合うべきです。お互い疲れるまで。(笑)話がそれても大丈夫です、それた部分から意外な意見が生まれたりします。
次に生活の場の決定です。どこで何をするか、です。一階には車庫が必要。母親と将来同居の可能性があるので、階段のない1室が必要。だったら普段使うのは2階。2階にいることが多いから、お風呂も必要。となれば寝室は3階の一番いいところ。(何と言っても人生の3分の1を過ごすところですから、一番いいところに持っていきたい)幸いにして、ここは3階建てですから、平面方向だけでなく縦方向も考えることが出来ます。ハウスメーカーのモデルハウスみたいな「玄関に吹き抜け」と言った見栄え重視ではなく、普段の生活の上で人の気配が感じられるようなあたたかな吹き抜け、例えば上の階にいても、ひょいと身体を動かせば、下の階の人と顔を見て会話できるような。そういう風にして間取りが決まってきます。考えるのではなく、決まってくるのです。最初からnLDKと区切っていくと、逆にそれに縛られてしまいます。と言っても最近の建築家の方はそれをいやがりますのでご心配なく。
そうこうして最初の案が誕生します。(100分の1です)今度は、ことあるごとに、頭の中で、実際にそこで生活している自分をシミュレーションします。気づいたことは、図面にメモすればいいと思います。何日も見ていると徐々に考えがまとまってきます。参考までにメモをご覧ください。
一方、個別打ち合わせと平行して、定期借地権、区分所有法の勉強会、他のコーポラティブハウス、無垢材の見学会、各提出書類(役所、金融公庫)の確認、躯体の外装の仕様の方向性などを組合員で話し合います。建築組合結成時はちょっとした宴会も行われました。この期間、親睦は深まりますが、他の家はどうなってるのだろうと興味もわいてきます。個別打ち合わせの際も○○さんとこは○○ですよ。とか言われるとちょっと気になったりします。面白いものです。
次回はそのメモを持参してから基本設計ができあがるまでです。基本設計を中心にショールームめぐりや照明器具の事、参考にした書籍についても書こうと思います。
written by 西田