日経アーキテクチュア
2003年2月17日号
特集「デザイナーズ症候群 建築家住宅は定着するか」
現象01●カタログ雑誌
建築家はコンビニで選ぶ時代です。
■「事務所地図」で敷居を低く
同じく顔写真にこだわるのが、カーサウエスト(ホットキューブ発行)編集長の伊東昭夫氏。こちらは地域限定の住宅雑誌だ。97年10月創刊の季刊雑誌で、関西の建築家の間ではよく知られている。かつて大阪ガスの広報誌を編集していた伊東氏が、建築家の人脈を生かして立ち上げた。
この雑誌も創刊号から顔写真入りの設計者紹介欄を設けている。しかも、設計事務所の地図入りだ。「一般の人にとって建築家は敷居が高い。電話さえもしづらい。顔写真はもちろん、事務所の地図が載っていれば、建築家をより身近に感じることができる」(伊東氏)
昨年秋には、この設計者紹介欄を集約したような別冊「関西の建築家インデックス2002」を発刊した。大阪を中心に115人の建築家を収録。もちろん事務所の地図入りだ。
インデックスに掲載されている建築家は6万円の登録料を支払っている。いわば広告だ。それでも名の知れた建築家がずらりと並んだ。「『ただでも載せさせて』とは誰にも頼んでいない。難色を示す人もいたが、ほかの業界ならばこのくらいの広告は当たり前。建築家はこれまで、あまりに一般の人と接点をもとうとしてこなかった」