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好評の別冊に第2弾登場!
別冊カーサウエスト
CW ARCHITECT INDEX 2004

定価/1,800円(本体1,714円+税5%)


新たな建築家47名を加えた総勢104名をいっきにご紹介!
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今回は座談会や対談など特集記事も加わり、充実の内容

 総勢104名の建築家のご紹介に加え、“女性建築家によるトーク”や小林恒氏と鈴木エドワード氏の“地球上で一番心地よい家をつくるための特別対談”など、特集記事も充実。読めばあなたの家づくりが変わります!

[座談会]女性建築家が本音で語る家づくりの気になること、考えていること
[特別対談]世界で一番心地よい家をつくるには? 小林恒×鈴木エドワード

これまでに建てた人たちは、どういう方法で建築家を選んだの? もどる

 「季刊カーサウエスト」の取材時に建築主にお聞きした方法論のいくつかです。掲載されていた住宅よりも巻末のインデックスに記載されていた建築家の住まいについての考えに共感を覚え、この人だと決めたという方がいます。いいなと思っても、実際には条件が異なりますから、イメージだけに頼るより、選択の確実性は高いといえます。
 一方、巻末の建築家インデックスに掲載されている建築家の考え方を読んでから住宅の写真を見て、考え方が住宅に反映されていないと思った人を候補から除いていったという方もいます。シビアな見方ですが、自分たちが納得できるかどうかが重要です。というように建築家の考えや意見を参考にされている人が多いのです。
 もちろん、住宅の写真から建築家を選ぶ方法もあります。なかには、たった1枚の写真で決めた方もいます。モダンな感じの建物、派手ではないが何となくしっくりきそうな建物、コンクリート打ち放しはもちろん、シャープな鉄骨造、木材の良さを生かした暖かみのある住宅、和風にしても本格的な数寄屋からネオジャパネスクまで、いろいろなパターンがあります。まずは、好きか、嫌いかと感覚的に選んでみましょう。そして、再度あなたの感性で篩いにかけてみてください。
 あるご夫婦は難しいことは分からないので、とりあえず雑誌から気になる住宅の建築家をそれぞれ5名ずつ選び出し、その中で重複した建築家に会った上で決めたそうです。ご夫婦どちらかの好みに偏らないという意味ではいい方法です。
 施工監理や竣工後のメンテナンスを考え、出来るだけ近くに事務所のある人から選んだ方もいます。関西圏内なら、実際にはそれほど大きな差にはならないでしょうし、距離よりも人間性の方が重要かとも思いますが、住宅の仕事は地域の仕事だというのは「カーサウエスト」創刊以来の変わらぬ考えです。

気になる建築家が見つかったら もどる

 では、中味は読んでいただくことにして、気になる建築家が選べたら、連絡をとって、事務所を訪ねてみましょう。最終的に決めるにはやはり相手に会って、話してみることが一番です。うろうろしていると、強引な営業マンに押し切られてしまいます。といっても、押し切られるくらいなら、それはそれで正解なのかもしれません。
 この本では事務所周辺の見取り図も掲載しています。思いがけず勤め先や自宅のそばに事務所を発見するかもしれません。連絡方法は、電話だと事務所の対応状態も確認できるのですが、直接電話はしづらいというのであれば、最初はFAX、最近増えているメールでも構いません。そのためメールアドレスもできる限り掲載してあります。ただFAXやメールには自分の連絡先をキチンと記載しましょう。相手にもいい感情を持ってもらいたければ、最初が肝心です。

 建築家の顔写真も人物にまつわる情報、つまり表情、服装、話しやすそうか、感性的に合うかどうかといったことを知るための貴重な情報源です。そこで全身写真や似顔絵はお断りしましたが、これもある読者からのご意見を伺い、なるほどと思ったからです。やはり、顔が見えることが大切です。結果的には、その人に依頼されたのですが、ある読者は、3人選んだ建築家の中で気難しそうに見えた人に最後に会ったといいます。
 この本では事務所の写真も載せています。「事務所の写真は、載せなくていいですか」「いや、敷居が高いと思われているのだから、設計事務所ってこんなところという意味で載せるのでぜひ協力して下さい」ということで、写真をお持ちでない事務所にはわざわざ撮ってもらうなど協力してもらいました。少しは訪ねやすくなったでしょうか。まあ、事務所を訪ねた時、本で見たなと思えるだけでも訪門時の緊張感は和らぎます。

事務所を訪ねた時は もどる

 事務所を訪ねた時は、建築家の人柄や雰囲気、話しやすいかどうかということも大切ですが、事務所のイメージや雰囲気もしっかりチェックしておきましょう。ビルの一室が多いのですが、打合せ室などには建築家のイメージや思いがある程度(中には強く)出ているはずです。壁に飾ってある額やポスターはあなたの趣味や感性に合いましたか?家具や調度品は?出された湯飲みやコップはいかがでしたか?
 事務所を訪ねて、雑誌では気づかなかった趣味や感性の違いに気づいてそそくさと引き上げた読者もいます。雑誌に載っている建物は一例に過ぎない上、建築主の要望と建築家の個性のバランスの結果なので、場合によれば建築家の個性は出ていないケースもあります。

遠慮なく話せる相手を見つけること もどる

 お会いになった時は、家のことだけでなく、家族やペットのこと、趣味、好きな場所、本、音楽、映画、料理、あるいは最近気になることなど出来るだけいろんなことを話してみましょう。ウマが合いそうかどうか、相性がいいかどうかが判ると思います。いずれにしろあなたとあなたの家族が暮らすための住宅です。しかも、メンテナンスやリフォームなど一生のおつきあいになることも珍しくありません。何でも遠慮なく話せる相手を見つけることが大事です。
 そして、この人だと思ったら、とりあえず相手の参考になるように出来るだけ多くの情報を伝えましょう。こんなことまでというようなことが、建築家にとって大きなヒントになる場合が意外と多いのです。
 もう一つ大事なことは、予算です。関西人に多いパターンですが、例えば、心の中では3,000万円までと決めているのに、2,000万円や2,500万円しかないという人がいます。でも考えてみて下さい、500万円、1000万円違えば、これはもう全く違う家です。これではいくら要望を伝えたところで、いや、伝えれば伝えるほどあなたの理想の家とはかけ離れてしまうことになるはずです。おまけに信頼関係も築けないことでしょう。お金のことでもう一つ、最近は地価が下り土地を担保に融資を受けられる額が下っています。もし土地を担保にされるなら事務所に行く前に銀行でどれぐらい借りられるのかを確認しておきましょう。プランがまとまったのに融資がうまくいかずお困りの方も、意外といらっしゃるのです。

ローコストからリフォームまで もどる

 昨今のような経済情勢では、アフォーダブル(住宅費負担能力)な範囲はどんどん下っています。いまに、30代の若い人たちが建てられるのは2,000万円以下ということになってしまうかもというわけで、ローコストでのプランについて建築家のみなさんの考えを載せています。参考になること多々なはずです。自分たちにとって家とは何か?、本当に要る要素は何なのか?よくよく話しあい、考えることが大切です。予算が少ししかなくても思いきって話してみましょう。あなたの選んだ建築家が住まいについて全く新しい考え方を提案してくれるかもしれません。
 増築や改築でならいざしらず、内装のリフォーム程度では、建築家に頼めないと考えている方も多いようです。そこで建築家の皆さんのリフォームに対する考えを掲載しています。子供たちの独立した後の住まいのリフォームから、民家の再生や古材の再利用まで、いろいろな考え方の中から、あなたに合った方法や考えを見つけてください。これからは使い捨てでなく、いろいろ手を加えて長く使う時代です。

得意分野には、得意な施工会社がついている もどる

 建築家選びとしてはサブ的要因になりますが、建築家にも得意な分野、あるいは好きな分野というのがあります。あるいはよく手がける工法についても聞いておきましょう。例えば、コンクリート打ち放しの住宅を建てたいなら、初めて手がける建築家に頼むより、得意な建築家、あるいはよく手がけている建築家の周りには、打ち放しの得意な施工業者がいるからです。もちろん、同じことは鉄骨造や木造についてもいえます。普段コンクリートや鉄骨造ばかり手がけている建築家に木造の住宅を依頼しても、周りに手慣れた業者がいないということはよくあります。施工業者もよほど大手でもなければ何でも来いというわけにはいきません。実際に施工をするのは施工業者ですから、施工業者の技術次第で仕上がりどころか住み心地まで変わってきます。巻末の索引では、〈得意な工法〉〈関心のある分野〉からも検索できます。

建築家との認識に差の出やすい部分 もどる

 これは依頼することに決めてからの話かもしれませんが、建築家と認識に差の出やすい部分もチェックしておきましょう。材料や仕様については、これまでに設計された住宅を見学させてもらった時などによく確認して、自分たちの暮らしに合うかどうか判断し、可否は必ず伝えましょう。黙っていれば、了解したと判断するかもしれません。
 まず一つは、ペンキ仕上げです。自由な色が使え、デザイン性も発揮できますから、内装にはいい選択ですが、外回りの木部やスチールなどは数年毎にメンテナンスが必要です。とくにスチールは、錆びやすいので、あなた自身が数年毎にペンキを塗ることができるというのでなければ、メンテナンスコストを覚悟しておきましょう。塗装業者に補修を頼むにしても、手の届くところならいざ知らず、外装の高いところとなると足場を組まなければならず、足場の費用も必要です。
 無垢の床板も建築家の好きな材料です。とくに最近は自然素材や健康住宅ヘの関心が高まっており、自然素材としての木材にこだわっている建築家も多くなりました。代表格の無垢の杉材は、柔らかいので足触りもよく、暖かい感じがするので好きな人も多いのですが、柔らかい=傷がつきやすい、ことは覚えておいてください。傷も味のうちと見過ごせる人には何も言いませんが、椅子の脚だと結構目立ちます。乾燥が不十分だと反ったり、空いたりしてきます。
 また、ハロゲンライトなど店舗用の照明器具も建築家がよく用いるもののひとつです。確かにシンプルであったり、機能的なデザインがおしゃれなのですが、電気代が高くつくことと、万一、球が切れた時、近所の電気屋さんでは手に入りにくいものも多いのです。
 日本人はどちらかいうと明るい照明が好きで、どんな場所でもお構いなく明るくしたがる癖があります。実はこれには、身体的な特徴があって日本人の網膜は欧米人に比べると明るさに対する感度が低いため、欧米人より明るくないと暗く感じてしまうのです。従って、建築家がよく提案する間接照明は、空間にいい雰囲気を作り出してはくれますが、明暗差の識別能力の低下している高齢者の部屋や生育期にある小児のいる子供室には避けましょう。特に子供室は近視の要因になりやすいといわれています。
 そして、一番認識のズレの起こりやすいのが、窓、とくにはめ殺しの窓です。大きな窓ができると思っていたら、はめ殺しで開けられなかったという話しはよく耳にします。しかも高い位置であれば、汚れても外部から拭くことは不可能です。しかし、開閉できても危なくて掃除できない高い場所や予算がないのに採光を確保するために大きな窓が必要な場合なら、サッシの要らないはめ殺しの窓はコストも安くおさまる切り札です。

新しい設備やシステムは現物をチェックしたいもの もどる

 注目の太陽光発電やパッシブソーラーシステム、緑化屋根や雨水利用といった環境系の新しい設備やシステムについては、建築家とよく相談してください。できれば実際に活用されている住宅を見学させてもらって、お住いの方から、現実的なメリット、デメリット、メンテナンスや使い勝手などを伺ってから決めるべきでしょう。その他、知らないことは建築家にキチンと説明をしてもらいましょう。

建築家の家ってどんな家? もどる

 建築家の家ってどんな家という方には、気に入った建築家を訪ねた時にこれまでに建てられた住宅を見学させてもらうといいでしょう。建築家を決めていない方などで見学する機会がないという方には、編集部でも「カーサウエストクラブ」という見学会組織(一家族・年会費¥12,600)を運営しています。また、本ホームページでも時々ですが建築家からの見学会情報を掲載していますので活用ください。

では、あなたに合った建築家に出会われんことを! もどる

 そして、いい住宅ができたらお知らせ下さい。「カーサウエスト」での掲載も検討させていただきます。万一、この本をご覧いただいてもまだ誰にしたらいいのか分からないという場合は、この本の読者に限り、ある程度のご相談にも応じます。
                        「カーサウエスト」編集長 伊東 昭夫

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