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CW Gallary 005

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撮影場所:大阪市北区 撮影:平 桂弥


子供のころ家に、通販で買ったお皿のセットがあって、
「人生でかなしいことは…」とか
「人生でさびしいことは…」とかいった文と野菜の絵が、
空になったお皿の底に日替わりで出てきた。
(武者小路実篤のプリントものの安物。そのうち全部割れて無くなった。)
それをいい加減に覚えていて、
潜在意識に中途半端にインプットされているらしい。
人生で一番さびしいことは、仕事の無いことだったかなあ。
とか、暇なときにぼんやりと考えてしまう。
ずっとそうだった。
若い頃は臆病だった。それに、私は心配性だった。
そのころ、人生で一番辛いことは自由でないことだろう。
と思った。

世の中がどうなるか分かったものじゃない。
そうなる前に、準備しなくちゃ。
勉強なんかしている場合じゃない。
それで、毎日寝る前に目を瞑って精神を統一して、
目で見なくて見えるものを見ようとした。
ある日、額の十cm前方にドアをイメージすることができた。
ドアを開けると、光が炸裂した。
光は激しい色が混ざり合い、その美しさで全身がしびれた。
(と思った。)
これで絵が描けなくなっても、音楽が聴けなくても、
目を瞑れば、完璧に美しいイメージの中で私は自由である。
後は、痛みに耐える技さえ会得すればこっちのものだ。
と確信した。

でもその後、痛みに耐える訓練はしていないから、
あっちこっち痛いと泣きごと言いながら、
何十年暮らしている。
光の炸裂も一度見ただけだ。
あそこまで行くのが大変なんだ。
今、「人生は美しきかな。」というほど楽観的にはなれないけど、
絶望的でもない。
不安材料はいっぱいあるにしても、
どんなことも現実のなかで、解決の方法はきっとあるからね。

エス・トモ

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