先日、ある材木屋さんのストックヤードで、静かに使われる日を待っている樹齢400年という原木に出会いました。「400年かかって育った木をわずか20年ほどで取り壊すような家に使ったら、木がかわいそう」と聞き、過熱する最近の自然素材ブームが頭に浮かびます。
確かに木材は、化学素材と違い、生産に要するエネルギーが少なくてすみます。室内に有害な物質を排出したり、廃棄されたところで環境に影響を与えることもありません。しかし、こうして使えるように成長するまで早くて30年から40年、長ければ数世紀の時とケアが必要です。流行りだから何でもかんでもムクの木にするというのでなく、適材適所を考えることが大切です。そういう意味では木材に関する正しい知識が今ほど必要な時もないでしょう。
どうしてこの国では、物の本筋を追わずに、何でもかんでも表面的な流行りで終わらせてしまうのでしょうか。同じなら「大切な木材だから大切に使おう」という考えにこそ流行って欲しいものです。